全員に行き渡らないお菓子を配る人
という人ってあなたの周りにいませんか??
職場の話です。
私の周りにはいます。
尊敬します。これは尊敬せざるを得ません。
だって、全員に行き渡らないのよ!?
もし、自分がそのお菓子が途切れてしまう境目になったとしたら、ギリギリもらえた側でも、もらえなかった側でもバツが悪いってもんです。
だいたいね、がっつくようなお菓子ではないわけですよ。往々にして。
そりゃあもらえたら嬉しいですけど、早い者勝ちになったときに我先に取りに行くような精神性もなければ、それほどのお菓子でもないでしょうよ。
いや、お菓子に文句はないんですよ。
全員に行き渡らないことが明白なのに、それを平然と配ろうとする人がいることに驚きを隠せないわけです。
でもね。
私はもっとすごい光景を見たことがあります。
もう50を過ぎ、役職についている彼の人は、絶対に女性社員にしかお菓子を配らないことで有名でした。
「女性優先で」という考え方に反発しているわけではありません。
どんなに数があっても女性しか食べるなというお達しをする姿は、それはそれは悲しい背中でした。
残業をしている女性社員に、自分の机の引き出しにしまっているせんべいを渡して悦に入る、それが彼の楽しみの一つだったのでしょう。
彼は一人やもめ。
当然の如く女性のみにことあるごとにお菓子を配っているのに、女性からは陰口を叩かれているような、人望のない男でした。
そんな彼が、ある日突然、自らみんなの席を回ってお菓子を配りだしたのです。
男性社員にも等しく。
何事かと一瞬困惑しましたが、その場にいる全員が一瞬でその不可解な行動を理解しました。
配られているお菓子には、かわいいミッキーが描かれていたのです。
これは夢の国で調達したお菓子だ!
そう理解した全員が、縦横無尽にアイコンタクトを交わし始めました。
「おまえがしろ」「いや、先輩お願いします」「私は絶対いやです」
そういった無言の応酬を経て、結局は当時新人の女の子がその大役を任されました。
「ぶちょー、このお菓子どうしたんですかー?」
あのときの新人の素晴らしい演技力は後世に語り継がれるべきです。
そう。私たちは聞かなければならなかったのです。
一人やもめである部長がなぜディズニーランドに行ってきたのか。
誰と、行ってきたのか。
だって部長の顔に書いてあるんですもの。「俺に質問しろ」と。
そうじゃなければ私たち男性社員がお菓子をもらえることなんて絶対にないんです。
それぐらい異例のことなんです。
だから私たちは、新人女性社員を生贄にしたのです。
だってほら、かわいい女性が無垢に質問した方が自然でしょ……。
部長は言いました。
「いやぁ、ちょっとね」
あちゃーーーー!!!
いたい、イタい、痛いよーーーーー!!!
聞かせておいて返しがそれ!?
うそやん? 準備してなかったん??
聞かれることだけが目的やったん?
だからなんも情報を提示せずに照れる演技だけしたん?
マジ?
お前50過ぎてんねんで??
きっつぅぅぅうううう
あのさー、もうちょっと自分を客観的に見れるようになろうよ。
五十にして天命を知っとけよ。
それから早4年。
彼はまだ郊外に買った一軒家に一人で住んでいるのでした。
めでたしめでたし
そういえばミッキーの顔かわるらしいですね。やだね。
あー、ゾッとした!
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